『 たなばたづき Select 水無月 』 ★ Write:梅桜 ★
は銀時の問いに、ふと視線を泳がせた
その視線が、忙しそうに短冊を拾いそして笑みを浮かべる水無月で止まった

 : 私は好きな人と一緒に過ごしたいって書いただけ。
銀時 : へーぇ。にしちゃぁ直球じゃねーかよ?
 : そう?私いっつも直球勝負のつもりだけど?
銀時 : ま、そういう事にしといてやるよ。はなんて書いたんだ?


銀時はに声をかけながら、の元を去った
その様子を見ていたのか、一呼吸置いた後で彬がに声をかけてきた


彬  : やぁ、姫。楽しんでいるかい?
 : あ、彬さん。はい、楽しんでいますw
彬  : それは良かった。隣いいかな?
 : 珍しいですね、彬さん
彬  : ちょっと、織姫様に協力しようかな?と思ってね

彬はそう言うとにウィンクした。この人はこういう仕草が本当に嫌みじゃないなぁと思う
彬はから、視線を外して話を進めた

彬  : さっき、姫の短冊を偶然見てしまってね。
 : ?!・・・わ、私の・・ですか?
     ・・・ははは、何というか恥ずかしいですね(〃⌒ー⌒〃)ゞ
彬  : 恥ずかしがる事はないさ、素直な姫らしい願いだよ。
     でも、このままじゃいつもの調子で彦星には逢えない。違うかい?
 : んー、そうですね・・・多分、いつも調子でチヒロや万里さんに捕まっちゃったら、ね。
彬  : だから、今日は僕が天の川を橋渡ししようと思うんだ
 : ?・・・えーっと・・・牛車?
彬  : 姫は面白いね。
     確かに、このまま店長の所に連れて行ってあげても良いけど、それじゃ邪魔が入ってしまう
 : じゃ、邪魔だなんて・・・
彬  : せっかくの七夕だからね。二人っきりの時間を楽しんでくるといいよ?織姫様
 : 彬さんって本当にいつもサラッとそう言う言葉を言うんですね
彬  : 変かい?
 : いえ。彬さんをご指名されている方の気持ち、ちょっとだけ判ったきがして
彬  : それじゃ、次は指名してみるといい。もっと楽しい会話をしよう?でも、今日はこの辺で。
 : この辺でって・・・
彬  : これ。ここに書いてあるカフェで待っていて。彦星にすぐ行かせるからね


そう言って手渡されたのは短冊だった
誰かが書いたものを二つに折ってあった。そして表に少し歩いた所にある24時間営業のカフェの名前


彬  : いいね?僕がチヒロ君を捕まえておく。姫は天の川の向こうへ行くんだよ?
 : はい、ありがとうございます!
彬  : いいんだよ、姫の笑顔の為なら。それじゃ、素敵な七夕を!


彬は颯爽と歩き出した。
は二つに折られた短冊を握りしめて、そっと、一礼をした後店を出た
歩きながらも顔が火照る。彦星は本当に来てくれるんだろうか・・・
そんな不安と期待で、知らず知らず足が速くなった


 : (そういえばこれ誰の短冊だったんだろう・・・)

はカフェに付いて一息つくと、ふと自分が握りしめていた短冊に興味が湧いた
そっと開いてみる。そこに書いてある文字に再び顔が火照り出す
その時、良く通る声がした


水無月: 隣、宜しいですか?あ、見られてしまいましたね
 : はい?あ、み、水無月さん!!
水無月: 織姫が待っているって彬に言われてので。お待たせしましたか?
 : いえいえ!私も彬さんに彦星をすぐに行かせるって・・あ、座ってください
水無月: では、失礼します


二人は外の見えるカウンターに並んで座った



水無月: そういえば、さんの短冊、持ってきたんです。
     と言うか持っていた、と言う方が正しいのですが
 : え?でも彬さんが見つけたって・・・

水無月の頬が少し赤く染まる
恥ずかしげに手元のコーヒーを弄びながら、それでも見て話を続けた

水無月: 私が見つけて読んでいたら、彬に見つかってしまったんです。
     それで、せっかくの七夕なんだから願いを叶えてあげようって言われて・・・
 : 彬さんらしいですね
水無月: えぇ。彬に天の川の橋渡しをしてあげるって言われましたよ。
 : 私も言われました。織り姫だなんて言えるの彬さん位ですよ(照笑)
水無月: 本当に、彼らしいです。
     彬が私の短冊を持ってさんの所に行ったんです・・・読みました?短冊。
 : ・・・えぇ、さっき。これですよね?
水無月: はい。さんの短冊も、読ませて頂きました



カウンターの上に二つの短冊が並ぶ
一つは整った文字で「さんの笑顔をずっと見ていられますように」と、水無月の短冊
そしてもう一つ、の短冊には「水無月さんと一緒に過ごせますように・・・」
二人は同じような願いの書かれた短冊を見て、顔を見合わせ、微笑んだ


 : こうして並べると照れちゃいますね。
水無月: ・・・ホントに宜しいのですか?こんな願い。あ、いや・・・
 : いいんですよ・・・水無月さんさえ迷惑じゃなければ
水無月: 迷惑だなんて、とんでもない。嬉しいですよ、本当に・・もの凄く嬉しいです
 : 本当ですか?良かった!


二人の視線が絡む。言葉が途切れてお互い照れ笑いしか出てこなかった
水無月が少し歩きませんか?とを誘った


 : 風が気持ち良いですね
水無月: たまにお店が終わってから来るんですよ。夜の公園ってなかなか神秘的でしょ?
 : 忙しい上にアフターもあって・・・あまり無理なさらないでくださいね
水無月: ありがとうございます。さんのその言葉だけでも疲れが取れますよ
 : もう、ホントお上手ですね
水無月: 本音ですよ
 

カフェを出た二人は少し喧噪を離れた公園にいた
ベンチに並んで座ると空を見た

 : こうやって二人っきりであうなんて、なんだか新鮮ですね
水無月: そうですね・・・私はいつもそのチャンスを狙っていたんですが
 : 水無月さんったらぁ・・・
水無月: 信じられませんか?ホストの言う言葉は


水無月の瞳がを捕らえて離してくれなかった
今、目を逸らしてはいけない、そんな気がした
そっと水無月の手がの手と重なる。その手をは見つめた
自分よりも大きな手。自分の手を包み込んでしまう、水無月の手


水無月: イヤなら言ってくださいね・・・さんを困らせるつもりはないんです
 : 嫌だなんて・・・あの・・ちょっと驚いてるだけです
水無月: いつもの強気のさんらしくないですよ?さ、笑ってください
 : 私は・・・


言葉は続かなかった。その唇は水無月の唇でふさがれた


水無月: 驚かせてしまいましたか?
 : いえ・・・


一言、そう答えるのがやっとのを、水無月は優しく抱きしめた
その胸からはコロンの香りと、ゴージャスの香りが入り交じっていた
心地良い安心感で、今まで張りつめていた糸がふっと緩んだは少し涙ぐんでしまった


水無月: さん?嫌・・でしたか?
 : ホントは驚きました・・・でも・・でも嬉しかったです
水無月: 本当に貴方という人はまだまだ、私の知らない顔をもってるんですね
 : 私もです、水無月さん。私の知らない、水無月さんが今日ほんの少し見えた気がします
水無月: それは良かった。もっと見せてくださいね・・貴女のいろんな顔を・・・
 : はい。


もう一度、視線を絡ませる。そして微笑みあい、今度はゆっくりと唇を重ねた。
夏にしては涼やかな風が少しだけ、吹いた