『 12 Vitamin 舞踏会スクランブル 九影太郎の場合 』 ★ Write:梅桜 ★
の所に瞬、悟郎、瑞希、九影、二階堂、真田の6人から
個性豊かな、それでいて想い溢れるメールやら手紙が届いていた


 : ここから一人だけ、なんだよね・・・

天を仰いでため息。何度目のため息だろう。
全ての手紙に目を通し、全てのメールをちゃんと見た。

どんなエスコートになるんだろう?

まったく想像がつかない。ただ真っ赤になって頭をかく姿しか思い浮かばない
その姿は九影太郎だった
九影から手紙を貰った。しかし文章は書かれておらずにラベンダーの押し花が入っていた
花が好きな九影の事だ、花言葉を誘いの言葉にしているんだろう
とりあえず、ちゃんと答えるために、ラベンダーの花言葉を調べる

これが問題の始まりでもあった


後日。
放課後、一人職員室から外を見ていた
今日は職員会議で、いつもの面々は会議室に集まっている
いつもはが留守番をしているのだが、今日は休みで居なかったため、が頼まれた

はボンヤリと検索結果を思い出していた
ラベンダーの花言葉は複数あった。『不信』、つまり信頼出来ないと思う事。
そして、『あなたを待っています』、『期待』など。


 : あなたを待っています、だろうな・・・
でも花言葉に詳しい九影先生が不信なんて花言葉がつく花を贈るかなぁ・・・
   ひょっとして違う意味?・・・ん〜・・・

はまた頭を抱えた。
ラベンダーを栞に加工して、手帳に挟んで持ち歩いていた
そっとその栞を出して見つめるが、ため息しか出ない


 : ね、教えてよ・・・どんな意味を込めてあなたは来たの?
瑞希 : あなたに出会うためです。
 : しゃべった?!まさかねぇって瑞希君?!
瑞希 : うん、僕。トゲーもいる
トゲー: クケクケー!
 : あの・・・後ろから抱きしめられるのは大変恥ずかしいんですが・・・
瑞希 : だって誰もいないから、チャンス到来・・・このまま(* ̄ー ̄)v
 : ちょ、ちょっとタイム!待って?ここ職員室だよ?真田先生とかに会いに来たとか?
瑞希 : 子犬に用事・・・でも今は目の前のさん。・・・ん?それラベンダー
 : そう。ラベンダーの押し花を貰ったから、栞にしたの。
     植物園好きだけあって良く分かるね
瑞希 : 植物園は昼寝・・・でも綺麗・・・確か花言葉は不信、疑惑。
 : ん〜もうちょっと良い言葉は出てこないかなぁ?
瑞希 : ・・・後は期待?他にも有るの?
 : そっか、瑞希君も知らないのか・・・
瑞希 : 誰かに貰った?
九影 : 俺がにやったんだ!さっさと離れろ斑目!!ヾ(*`Д´*)ノ"彡☆
瑞希 : あ、九影先生・・・グー(mー_ー)m.。o○ zZZZ
九影 : 寝るな!!
 : 寝ちゃいましたねぇ
九影 : お前もしっかりきっちり言わねぇとダメだろぅが・・・ったく
 : すみません。それより職員会議は?
九影 : 葛城が脱走したんで、俺が捕獲に来たんだが・・・この様子じゃここには居ねぇな
 : はい、見てませんよ?
瑞希 : ・・・さっき校舎裏ですれ違ったから、早く行けば?
九影 : だから起きてるんならさっさとどけろ!ったくよぉ・・・それじゃ俺は行くからな
 : あ、九影先生!
九影 : なんだ?
 : あの、このラベ
悟郎 : キャーーーー!!太郎ちゃんみっけーーーー!ハグハグ!ヾ(≧∇≦*)〃
九影 : って、させるか!!
悟郎 : ちぇ、また失敗か。次はポペラばんがるぞー!おー!!って事で、瑞希知らない?
九影 : あそこで寝てやがるぜ
悟郎 : あぁぁぁぁ!!ずっるーーーっぅぅぅい!!ポペラずるい!
     ゴロちゃんもにハグするぅ!ヾ(≧∇≦*)〃
瑞希 : ダメ!
悟郎 : わお!・・・起きてるじゃん瑞希〜太郎ちゃんの嘘つきー!
     ってポペラ居ない!!ん?どしたの
 : ん?なんでもないよ?


訊きそびれた
と言うより、訊いたらいけない気がした
ちゃんとお前が調べてこいって言われてる気がして、少し迷った
エスコートをお願いする前で、こんなに迷うなんて・・・やっぱり違う人にしろって事?


瑞希 : あなたを待ってます・・・
悟郎 : ん?何?急に、どしたの瑞希?
瑞希 : ラベンダーの花言葉。思い出した・・・あなたを待ってます。・・・他には知らない
 : うん、ありがとう、瑞希君(*^-^)
悟郎 : なになに?ゴロちゃんも話しに入れてよぅ!
二階堂: 君たちは職員室で何をしてるんですか!?
悟郎 : あ、ショウちゃん、ポペラ元気だねぇ
二階堂: 元気も何も・・・さん、どうかされましたか?
 : え?
二階堂: いや、元気が無いようにお見受けしたので・・・気のせいなら良いのです
瑞希 : ・・・皆、心配してる・・・さん、笑って?(*^-^)
 : そうだね・・・悩んでるのって私らしくないねって、二階堂先生、職員会議は?
二階堂: 葛城が脱走したおかげでまったく、議題が進みません。
     よっていったん休憩と言う事になりました
衣笠 : 皆さんでお茶でも、という話になったんですよ。さんもどうですか?
鳳  : せっかくだからね、風門寺君も斑目君もいかがかな?
     たまには大人のお茶会も悪くないよ?
悟郎 : ん〜コウちゃんのお誘いは誘惑なんだけどなぁ
二階堂: それを言うなら魅惑、ではないですか、風門寺君?
悟郎 : そうそう、そうとも言うね、ショウちゃん
瑞希 : ・・・帰る・・・
真田 : なんだよ、斑目、せっかくの誘いを
瑞希 : ・・・さんが元気になったから・・・さん、笑って、ね?
トゲー: クケー!(^▽^)/
 : うん、ありがとう、瑞希君、トゲー
悟郎 : 瑞希が行くなら、って、あぁぁぁ!!!
     ゴロちゃん瑞希の事探してたんだよ!!パラッペ大変なんだって!行くよ瑞希!!
瑞希 : あぁぁぁぁ引きずられるぅぅぅぅ・・・・子犬、またね・・・
真田 : またねって・・・あ!!あいつ俺が呼び出したから来たんじゃ・・・
 : あ、そんな事も言ってましたね。あ、おいしそうな香り。
鳳  : そうだろ?紅茶でティータイムといこうか?さ、真田先生も座って


優しい紅茶の香りに包まれて、だんだんと元気になる
そうだ、悩んでいても仕方ない。エスコートを頼むって決めたんだから!!
こうなったら、花言葉が違ってたとしても新しい花言葉ですって言い切ってみせるもん!
・・・それも強引かな?と悩みが消えていくの顔にいつもの笑顔が戻りつつあった


しばらくして。
理科準備室に九影が居ると聞き、は大きく深呼吸をしてそのドアをノックした
中から、面倒くさそうな九影の声がする

 : です、入っても良いですか?
九影 : どうした、珍しいな

ま、どうぞと招き入れるような所でもねぇがな、と笑いながらソファーへ促す
試験薬の香りだろうか?独特の香りが充満した理科準備室に白衣を羽織った九影がいる
なんだか、見慣れない光景にドキドキする


九影 : コーヒーで良いか?っつってもインスタントだけどよ
 : はい、頂きます

マグカップにインスタントの粉を入れる背中
それにしても、お前さんがここに来るなんざ、珍しいなぁと話を切り出しながら作業を進める九影

 : あの・・・舞踏祭の件でうかがいました
九影 : ?・・・あ、舞踏祭な。そうか、そうだな・・・σ( ̄、 ̄=)

マグカップを持つとソファーの前のテーブルに置く。
熱いぜ、と一言添えていく。

九影 : たばこ、良いか?
 : ここ禁煙じゃないんですか?まぁかまいませんが・・・
九影 : わりぃな。
 : お気遣いなく。コーヒー頂きますね


会話がとぎれる。の決心が折れそうになる
タバコの煙と一緒に九影がゆっくりを話しを切り出す


九影 : どうも苦手でな、こういうのが、よ。
 : 苦手?
九影 : なんだ、二人っきりで、これから大切な話が始まりますよーって雰囲気が、な。
     どうも苦手だ
 : そんなに大切は話って訳でも・・・まぁ大切っちゃ、大切ですけどね。
九影 : さ、言ってくれ。誰に決めたんだ?エスコートは?二階堂か?
 : はい?
九影 : 俺じゃねぇこと位分かってるって。
     まさか真田のサルじゃねぇよなぁ・・・いや斑目って事も
 : 待って下さい!私九影先生にお願いしようって、ここに来たんです!!煤i; ̄□ ̄A
九影 : へ?( ̄△ ̄;)
 : え?
九影 : お前、断りに来たんじゃねぇのか!?(゜Д゜)
 : なんでそうなるんですか?(゜Д゜)断るなんて一言も言ってません!!
九影 : けどよ、お前さんのその雰囲気は
     『ごめんなさい違う人にエスコートお願いしました!』って感じだろう?!
 : どんな感じですか!
九影 : いつものらしくねぇって言うかよ、
     第一そんなに暗い顔してたらそう思うだろうが?!
 : それは九影先生の花言葉が不信とか期待とか、
     そんなにたくさんある花を一つだけ入れるからです!
     どれだけ悩んだと思ってるんですか?!
九影 : 不信?・・・あ、そう言えばそんな言葉も・・それならそうと、訊けば
 : 訊けないです!!訊けないですよ!・・・この花の意味を教えてくださいなんて
     ・・・恥ずかしくて訊けませんよ・・・(;;)
九影 : ・・・泣くなや・・・悪かった。俺が、俺が悪かったから、もう泣くな、な?
 : 泣いてなんか・・・泣いて・・・


そこで初めて自分が泣いてる事には気がついた。
気になっていた事を全て話して肩の力が一気に抜けた
ゆっくりと九影が近づいてくる。ソファーに座っているの横に座る
ギシッとソファーが音を立てる
大きな手がゆっくりとの頭を撫でる。低く甘い声がの頭の上から聞こえる


九影 : 悪い・・・そこまで悩むなんてこれっぽっちも思わなかった・・・
     なんて書いていいのか全然分からなかったんだ・・・
     で、ラベンダーを入れて封をした
 : ・・・一言も無いから・・・凄く悩んだんですよ?
九影 : あー・・・だからよ、
     まさか選ばれるなんて思って、これっぽっちも思わなかったからよ・・・
 : 『あなたを待ってます』で良いんですか、ラベンダーの花言葉
九影 : あぁ・・・待つ事しか出来ねぇからな・・・
     奪いたくても、力を入れすぎちゃ壊れっちまう・・・
 : 私以外と頑丈ですよ?
九影 : 違いねぇ・・・でもよ・・・
     それでも俺だけが抜け駆けして攫っちまう訳にいかねぇだろう・・
 : 今なら攫ってくれますか?私の事。


ふと視線を上げる
頭の上にあった手が一度なくなる。そして壊れ物でも触るように、の肩に触れた
ソファーの上で、二人が見つめ合う
ゆっくりと、そぉっと九影がを自分の胸へと抱きしめた

九影 : それ以上見るな・・・俺がどうにかなっちまいそうだ・・・
     このままじゃお前を攫う前に折っちまいそうだぜ・・・
 : 頑丈だって言ったじゃないですか・・・
     私、花じゃないですよ?ちゃんと折れる前に自己主張します
九影 : 確かにな、こんなにしゃべる花には俺も会った事ねぇや・・・
     賑やかで、楽しい花だな?
 : ・・・だから花じゃないですって・・・
九影 : いや、お前は花だ・・・
     俺にとっての、一番大切な、一番綺麗な・・・一番の華だぜ、


ゆっくりと九影の腕に力がこもる
今まで大好きな花をどれだけ折って後悔してきたかが、分かる力の加減だった。
気づけば、九影のシャツ越しに鼓動が聞こえるほどに、密着していた
もその手をゆっくりと九影の体に回してみる。
体から直接なのか耳元からなのか、もう分からないが九影の低音の響く声が聞こえた


九影 : ・・・好きだぜ、・・・
 : ・・・私も、好きです、九影先生のこと・・・好きです
九影 : 嬉しすぎて力がこもっちまうだろ・・・平気か?
 : はい・・・九影先生の心臓の音が聞こえてます
九影 : あ、アホォ!そういう報告はなぁ(///∇//)
 : イタタタタァ!ギブギブ!!マジギブ!!(≧◇≦)
九影 : あ、すまねぇ・・・つい力が
 : ふー・・・ね?平気だったでしょ?ちゃんと言ったでしょ?
九影 : あぁ確かにな。ギブなんて花に言われちゃ、確かに分かり易いわな
 : もう、笑わないで下さい!!・・・つい口から出たんだもん(・・*)ゞ


自分を見上げるの顔は真っ赤だ。でもいつものように笑っている
そう、九影が初めて会った時の様に、臆すことなく笑顔で自分を見ている
次は心臓の音が聞こえても黙ってますね?と笑う、こいつは、俺が怖くねぇのか?


九影 : なぁ、お前さんは俺が怖くねぇのか?
 : いきなりですね。初めて見た時は確か、間違えたんですよ
九影 : あぁ、思いっきり、そっちの方面に人間に間違えたな
 : でも二度目にエレベーターの中で会った時は間違えませんでしたよ?
九影 : 覚えたのか?
 : はい、桜の花びらだらけで忘れたくても忘れませんよ(*^.^*)


翼が借りた部屋をT6が時々見に来ていた
九影が来た時、ちょうどエレベーターで一緒になったのがだった
桜が散り始めていて、九影の頭に、肩に、桜の花びらが乗っていた
仙道のイタズラで、頭にノリのようなモノを付けられて居たのが取り切れてなかったのだ
そこに桜の花びらがくっついて、見事に後頭部がまばらにピンクだった


 : 教えて良いのか初め迷いましたもん
九影 : そこかよ!ヾ(- -;)・・・まぁ確かに人目がいつもより痛ぇとは思ったんだがな。
     ったく仙道にはやられたぜ
 : でも、おかげで九影先生と話が出来ましたよ?
九影 : まぁな。てっきり忘れてたと思ったぜ?で、保健室まで何度も迷うしな?
 : あ、それこそ忘れて下さいよ!!・・・いやな思い出ですから・・・( ̄∇ ̄;)
九影 : ま、俺としてはと話が出来る貴重な時間だったんだがな?
 : え?!あ、え、はい?!!ヾ( 〃∇〃)ツ
九影 : そう驚く事もねぇだろ?・・・ま、鈍いんだから仕方ねぇな、お前さんはよ(*^^*)
 : ・・・それ、言わないで下さいよ・・・('ε'*)


ふと、会話がとぎれる。二人の視線がぶつかったまま、時計の音だけがイヤに耳に響く
好きな人の顔が息がかかるほど、近くにある
今は言葉が邪魔なだけだ

九影は軽くの顎を持つと上に向かせる
は行き場を失った手を九影の胸に当てる


九影 : ギブって言わねぇのか?
 : ・・・ギブ・ミー?なんちゃって(*^^*)

真っ赤になって笑う。こいつをどうしたら良いんだ?
この状態で冗談を言う、こいつが愛しいくて、愛しくて・・・たまらない

九影 : (この花を例えこの手で折ってしまっても俺だけのモノにしたい)

ギブなんて言わせねぇと一言、返事を言う唇を塞いだ
もう一度、ソファーがギシリと音を立てたが、
それより九影の胸から伝わる鼓動がには大きく感じた

しばらくして、ゆっくりと影が二つに分かれる。タバコの残り香が少しだけ、に残った
何も言う事はない。満たされた気持ちだけで何も言えない。
ソファーから立ち上がりながら、九影が照れくさそうに話す


九影 : あー、あれだな、コーヒー入れ直してやる。
     しかし、エスコートなんざ、初めてだからよ、上手く出来ねぇぞ?
 : 私だって舞踏祭初めてですよ。二人とも初めてなんですね
九影 : ま、そう言う事だな
 : そうだ、先生タキシードって用意しました?
九影 : いや・・・今までエスコートなんざ全部断ってたからな。
     見回りって事でタキシードは着てねぇんだ
 : 今回はそうは行きませんよ?って言うか、私もドレス着るんですけどね
九影 : じゃ、一緒に見に行くか?次の休み・・・空いてるか
 : はい。それじゃ次の休みに。・・・これってデートですか?
九影 : アホォ・・・そう言う事にしてやるよ(*..*)
 : ヤッター!先生とデート!(≧∇≦)遅れちゃダメですよ?
九影 : 遅れねぇよ。それより、その、先生、って止めねぇか?どうも調子狂っちまう
 : じゃ・・・九影さん?(〃ω〃)
九影 : ・・・悪くねぇな
 : でも照れくさいです・・・その・・・
九影 : ん?どうした?ほれ、コーヒーだ。
 : ずるい!そう言うときだけアップで!!・・・
     照れくさいって言うか凄く恥ずかしいんですが!ヾ(〃∇〃)ツ
九影 : ほほーう?さっきまではもっと近くに居たんだぜ?忘れたのか?ん?
 : 忘れてません!九影さんと・・・(〃ω〃)
九影 : 真っ赤だぜ?
 : 何でもないですよーーーだ!もう!
九影 : そう怒るなって。またキスとかしちまうぞ?
 : (//._.//)・・・(額にチュって?!)
九影 : 今度は冷めないうちに飲めよ?あんまりぼーっとしてっと
 : 飲みます、飲みます、頂きます!!(//////)




理科準備室に夕日が差し込む
唇に手をやるとスキップをしてしまいそうになるだった


そして、約束の休日
町はクリスマスが近いだけあって混み合っていた
しかし、九影とはまったくその人混みを気にせず、ドレス選びとタキシード選びを楽しんだ


 : 良かったですね、良いタキシード見つかって。
九影 : あぁ。お前のドレスも舞踏祭が楽しみだな?
 : ・・・でもちょっと派手じゃないですか?(//._.//)
九影 : いや、似合ってたぜ?ちょっと休憩するか?
 : はい。

コーヒーショップに入る。しかし、中は満席。
仕方なく、近くの公園のベンチで休憩する事にした
九影がコーヒーを買ってくるから、お前はここで待ってろと行ってしまった
仕方なく、ベンチに座って九影を待つ

転びそうになった時、手を掴んでくれた事を思い出したり
服を選びながら笑い転げたり、ドレスのコーナーでは、入るのをひどく恥ずかしがったり。
何度も「や」のつく職業の人と間違われて怒ったり
その度に横で笑うと、照れくさそうに頭をかいてる九影
見た事の無い表情、初めて見る顔が新鮮だった

ふと、ベンチに花びらが落ちている事に気がついた


これ・・・山茶花だ

ベンチの後ろに立派な山茶花の植え込みが会った
薄紅の花が満開で、既に散り始めている
木の下やベンチに花びらが無数に散らばっていた

手にしたのは落ちたばかりであろう、花びら。まだ痛みも少ない
ハートの形に近かった

そう言えば花言葉を探してる時、山茶花の花言葉が目に止まったのを思い出した
『ひたむきな愛』。まるで花を愛する九影さんの様だとその姿がだぶった事を思い出す


九影 : 見事な山茶花じゃねぇか
 : あ、九影さん。本当ですよね・・・ほら、花びら。ベンチに落ちてたんです
九影 : こりゃ落ちたばかりだな。

九影の手のひらにそっと一枚の花びらが乗る
コーヒーをベンチに置いて、そっとその花びらを触る九影


九影 : 柔らけぇな・・・しかし、こうして散っていくんだよな
 : ん?あ、山茶花ですか?
九影 : あぁ。どんな花でも咲いたら散るだけだ・・・咲き続ける花なんざねぇ
 : 九影さん?


ふと、は九影の顔をのぞき込む。咲き誇る山茶花を見ながら
その視線はその向こう、もっと遠くを見ているようだった


九影 : なぁ、咲いた花がいつか散るなら、
     蕾のままでもずっと見ていてぇって思った事はあるか?
 : 蕾のまま、ですか・・・ないかもしれないです。
九影 : そうだな、お前さんなら咲いて散っても、また咲いて鳥も蝶も呼ぶ
 : ・・・九影さんは蕾のままで、咲かない方が良いって思った事、あるんですか?
九影 : そうだな、咲いたら散って行くんじゃねぇかって思うとな・・・


ふと、に視線を移す九影
は山茶花の蕾を見ていた。影に隠れていたので、他の花よりも咲くのが遅れたらしい


九影 : 花だけじゃねぇ・・・
     何でも終わりがあるように、散って行くんじゃねぇかって思っちまう
 : でも、もし蕾のまま虫に食べられてしまったり、
     誰かに手折られたりしたら、枯れてしまうんですよ
九影 : あぁ・・・
 : 私はイヤです。そんなの、イヤです。

強い口調のが九影を見る
その瞳にはうっすらと光る涙が見えた

 : 九影さんとの間に花が咲いて、もしそれが散ってしまっても、私何度でも咲かせて見せます
九影 : ・・・
 : でも蕾のまま枯れちゃったら、咲かせる事なんか出来ない。もう、咲かない・・・
九影 : 何度でも、か・・・
 : 何度でも、です。散って咲いて、また蕾になって咲いて・・・
     何度散っても何度でも咲いて見せます
九影 : 咲いて、俺を魅了するのか?お前は(^_^)
 : へ?あ、そういう意味じゃなくて・・・ヾ(;´▽`A``
九影 : いや、そう言う事にしてくれ・・・
     そうだな、散ってもまた、何度でも咲くんだな、お前って華は、よ
 : 違います。九影さんが咲かせてくれるんです。
九影 : 俺が?・・・


はそっと九影の手を取る
自分のよりもずっと大きいその手に、今日何度助けられただろう
そしてこの手は華が大好きで、何度もその好きな花を折ってしまった

両手でしっかりと九影の手を握り、そして九影を見つめる
驚いて言葉も出ない九影にゆっくりと話をする


 : 九影さんじゃなくちゃ、ダメなんです。
     他の誰でもない、九影さんじゃなくちゃ、咲く事なんか出来ない。
九影 : ・・・
 : だって、九影さんとの間の想いの華ですよ?私一人で咲かせるわけじゃない。
九影 : お前は・・・ったく、勝てねぇな。
 : そんな事ないですよ
 

そっと九影が山茶花に手を伸ばす
今まで、どれだけ花が好きでも力加減が上手くいかずに手折ってしまった
今ならきっと触れる。
あのとき、を抱きしめたように、そっと。愛しむように、そぉっと・・・


九影 : 柔らけぇな・・・、お前さんみたいだぜ?(^_^)
 : な?!!!(//////////)そう言う事を言わないでください!!
九影 : 耳まで真っ赤だな?
 : もう、からかうんだから!!!(〃ω〃)


お前が反応して面白れーんだよ、と九影が笑う。もつられて笑う
その笑い声に誘われるように、花びらが一つ、二つと降りてくる
薄紅の花びらが九影とのつないだ手の上に乗る
くすぐったいような、素敵な偶然に二人とも、見つめ合って微笑んだ
その九影の微笑みに、さっきまでの不安な影は何もなかった



そして舞踏祭の日がきた
九影がタキシードに着替えて職員室に行くと、そこには真田、瑞希と悟郎がいた


真田 : こ、九影さん?!・・・マジ怖さに磨きかかってるんスけど・・・( ̄_ ̄ i)
悟郎 : 殺されるーーーーー!!ヾ(≧∇≦*)〃ヾ(*≧∇≦)〃
九影 : そんなに言うなら殺してやろうか?風門寺ぃ(#`皿´) 
悟郎 : パラッペ遠慮します!!(-人-)
瑞希 : ・・・食べられる(-_-)
九影 : だから人も食わねぇし、殺さねぇっ!!(#`皿´) ったくサルが変な事言うからだろ!
真田 : え?俺?
悟郎 : マサちゃんダメっしょ?太郎ちゃんこれから出陣なんだからさー。ε- (´ー`*)
九影 : って、戦にも行かねぇ!!(#`皿´) 
衣笠 : はいはい、それくらいにして。
     九影君、お迎えに行くんでしょ?遊ばれてたら一生ここから出れませんよ?
九影 : 一生って・・・遊んでたのか、お前らは!
悟郎 : えーだって太郎ちゃんポペラ乗ってくるから面白いんだもん(´m`)
瑞希 : ・・・怖いモノしらず・・・(´m`)
悟郎 : 本当に怖いもん知らずはなんだけどね〜
     エスコート、失敗したらゴロちゃん石膏でを攫うんだもん!
真田 : それを言うなら速攻、だろう
     風門寺は・・・あ、九影さんちゃんエスコート頑張って!
九影 : おう。風門寺になんざ、攫われねぇよ。じゃぁな
衣笠 : 凄い自信ですね?きっと何かあったんでしょうね〜うふふふ
悟郎 : キヌちゃん何か知ってる?パラッペ知ってる?
衣笠 : さぁ?それは神のみぞ、知るってことです。さ、舞踏祭に出かけましょうか


一方保健室
ドアの前で、一呼吸してからノックをする九影の姿があった


 : はーい?
九影 : 九影だ、入って良いか?
 : あ、どうぞ。


そこにいたのはドレスに着替えた
いつも見慣れている姿とは全然違うがそこに照れくさそうに立っていた


 : あ、九影さんタキシード似合ってますね!やっぱりそっちで正解でしたよ〜!
九影 : お前もな。最高だ
 : そんな・・・でもちょっと・・その。
     セクシーすぎるって言うか・・・変、じゃないですか?
九影 : そうか?


後ろでドアを閉めた
変じゃないかなぁと良いながら、自分のドレス姿を気にしてるこのお嬢さんは
俺がいま、どんな気持ちで近づいているか、知るよしもないだろう


九影 : 最高に綺麗だぜ?そう言っても信じないか?
 : ・・・こ、九影さん!?・・・あの、その・・・(〃ω〃)
九影 : どうした?


抱きしめられた。
その上、お姫様だっこをされている。どうした?と聞かれても、こちらが訊きたい


九影 : そんなドレス姿を見せられて、俺がこのままお前を黙って
     舞踏祭のフロアに連れて行くとでも思ったか?
 : はい!?
九影 : ・・・見せたくないんだよ、
     今のお前の姿・・・誰にも、見せたくねぇ・・・俺だけの華だ
 : 九影さん、でもが待ってるってさっき・・・メールを・・・
九影 : 今日だけは俺のエスコートで、どこでも付いて来てくれねぇか?
 : ・・・なんだか凄いエスコートをされそうですね。それじゃ、お願いします

ちゅ☆

九影 : な?!お前今、そのホッペに・・・(〃ω〃)
 : だって悔しいじゃないですか?
     手も足も出ない状態で、文句の一つも言えないんですよ?
九影 : 文句ってなぁ・・・(〃ω〃)
 : これくらいして、困った九影さんの顔を見る事くらい、許して下さい、ね?(≧∇≦)
九影 : ・・・ったく、許すも許さねぇも・・・
 : ん?怒っちゃいました?


視線が絡む
怒らせちゃったかな?と笑う。どこに連れて行かれるとも知らないのに、笑っていやがる
それは自分の首に回された手の強さで分かる。全てを任せた手の強さと微笑み
勝てねぇな。とふと思う。
勝とうと思っていた訳ではないが、多分、この脳天気なお嬢さんには勝てる気がしねぇ
ゆっくりと立たせる。少し驚いているがそこにいる


九影 : どうした?攫って欲しかったって顔、してるぜ?
 : え?本当ですか?!!・・・バレてますか・・・(〃ω〃)
九影 : いつか攫ってやるよ、ほれ、顔上げろ
 : はい。?!


顔を上げたに、九影が不意にキスをした
もうすぐ舞踏祭が始まる事に、焦って廊下を走る靴音がこだまする
は初め目を見開いて居たモノの、ゆっくりその瞳を閉じ、手を九影の両頬に添えた
ゆっくり、抱きしめられる。
あの日の山茶花のように、そっと、ゆっくりと抱きしめられて、九影の胸にしまい込まれる


九影 : やられたらやり返す、ってのが俺のやり方でね・・・
 : こんなにドキドキしながら、ですか?(〃ω〃)
九影 : ?!・・・ま、そういうこった。行くか?
 : エスコート、してくれるんならw
九影 : どこへでもエスコートしてやるよ。お前が行きたいところにも、俺が行きたい所にも。
 : それじゃ、手始めに舞踏祭に行きますか?
九影 : そうだな?行かねぇと後で何言われるか分かったもんじゃねぇや。それじゃ・・・


そっと差し出された手。そこにゆっくり自分の手を乗せる
そして少しだけ見つめ合って、照れ隠しの様に九影が頬にキスをした
耳元に、こんな言葉を残して・・・


九影 : 今夜だけじゃなく、これからもずっと、お前の手をこうやってエスコートしてやるよ
 : 楽しみです。お願いしますね


美女と野獣と瞬に言われても、殺されるーと悟郎に言われても
不釣り合いにも程があると真田に言われても、その日、九影は一度も怒らなかったと言う、噂だ。

衣笠 : それはきっと恋の魔法ってやつですね、うふふふ

と、衣笠が言っていたが、周りには舞踏祭の恐怖と語り継がれたとか、語られなかったとか・・・