『 12 Vitamin 舞踏会スクランブル 七瀬瞬の場合 』 ★ Write:梅桜 ★

『 12 Vitamin 舞踏会スクランブル 七瀬瞬の場合 』 Write:梅桜


の所に瞬、悟郎、瑞希、九影、二階堂、真田の6人から
個性豊かな、それでいて想い溢れるメールやら手紙が届いていた


 : ここから一人だけ、なんだよね・・・

天を仰いでため息。何度目のため息だろう。
全ての手紙に目を通し、全てのメールをちゃんと見た。


そういえば舞踏祭の時、ライブやるんじゃなかったかな?


ふと曖昧な記憶が不安を煽るが、それでもきっと一生懸命エスコートをしてくれるんだろう
そんな人だ、七瀬瞬と言う人は。
いつも一生懸命で、驚くほどピュアな心を持っていた人。
節約が趣味で、スーパーの特売に最近良く一緒に行く
今回の手紙も小テストの裏の白紙部分に書いてきた。
手紙を手に取りながら、ちょっと不満を口に出す


 : 直接手渡してくれても良かったのに・・・


この手紙を見つけた時の事を思い出す
何がドアに挟まってるんだろう?と思って手に取ってみれば、小テスト
それも理科で、点数はもう少しがんばりましょう。
何かのいたずら?と思い開いた時に、瞬の文字が見えた


 : 瞬君らしいっていえば、最高に瞬君らしいんだよね


内容もとても声に出して読めるものではない。それほど、愛の詩さながらの内容だったのだ
もう一度、小テストの裏面に書かれた愛の詩を読んでみる。
声に出さなくても耳まで赤くなるほど、恥ずかしくなる言葉。


 : さすがはアーティストって所なのかなぁ・・・これに返事を書くのは無理。


返事は愛の詩を返す事より、直接会って伝える事にした
しばらくして、偶然瞬が保健室に休みに来た
バカサイユで寝てる事が多いのだが、たまに保健室で寝る事がある
あまり保健室を預かる者としては、喜ばしくない行為だが
体調が悪いものにはベッドを貸しても良いだろうとの判断でやっていた。


瞬  : 昨日のバイトで頑張りすぎた・・・少し寝かせてくれ・・・
 : ってもう放課後よ?バカサイユで寝たら?
瞬  : ・・・仙道が大量にイタズラを仕掛けたらしい・・・
     今真壁が永田さんに全部回収させてる・・・
 : 大丈夫?かなり疲れてるみたい
瞬  : ・・・眠いだけだ・・・

ベッドに潜り込むと、30分後に起こしてくれと一言残し瞬は眠りに落ちた
その寝顔は、彼の親子関係の悪さを感じさせない柔らかな顔だった
九影が少し前に七瀬の顔つきが変わったと言っていた
にはまだ、それが分からなかった

綺麗に染まった髪の毛を撫でながら、エスコートの事をどのタイミングで言うべきか迷っていた
保健室の外は時々人が行き来する靴音がする
窓の外からは遠く、優しいピアノの音が聞こえた
ここだけが世界から置いて行かれたような錯覚を感じる
ただ静かに、瞬の髪を撫でながら、疲れが少しでも取れればいいのにと願う


 : 瞬君の疲れが、こうして私に移ればいいのにね
瞬  : そんな事を言って本当に移ったらどうする?
 : 起こしちゃった?ごめんね
瞬  : いや、かまわない・・・むしろ気持ち良くかった、さんに撫でられていて・・・
 : そう?良かった。じゃあと20分、こうして
瞬  : いや、良い。もう大丈夫だ


起きあがる瞬。まだ、眠そうだ


 : 瞬君、目の覚めるようなお知らせがあるんですが・・・聞きたい?
瞬  : あぁ、是非聞かせて欲しいもんだな、その目が覚めるようなお知らせとやらを。
 : 舞踏祭のエスコートを瞬君に決定しました。『私の時間を、あなたに捧げます』って事でw
瞬  : ・・・今、エスコートって・・・俺はまだ寝ぼけてるのか?いや仙道のイタズラか?
 : このパターン、どこかで・・・清春君のイタズラでもなければ、寝ぼけてません。
     ホッペつねってあげようか?
瞬  : 自分でつねる・・・痛い!!本当なのか?
     本当に俺にさんの時間を・・・エスコートをさせてくれるのか?
 : うん、お願い。でも私ダンス踊れないよ?
瞬  : 平気だ。そんな事は心配するな・・・
     それよりドレスだ、ドレスを用意しなくては・・・さんドレスは?
 : まだ。でも
瞬  : よし、まだ買ってないんだな?それなら買うな!良いな、絶対買うなよ?!
 : 瞬君?
瞬  : 今年はついてるぞ!宝くじでも買うべきなのか?
     いや、そういう一攫千金は良くない。な?そうだな、さん
 : うん、そうだけど・・・あの、瞬君?
瞬  : じゃ、俺はバイトがあるからもう行くが、良いか?絶対にドレスは買うな。
     それだけは約束してくれ
 : は、はぁ・・・
瞬  : よし!それじゃ行ってくる!!O(≧▽≦)O


あっという間だった。
ドレスを買うな、と言う事は自分が買うから、と言う事だろう。
これ以上瞬に負担をかけるのが心苦しい
しかし、瞬の喜びようには自身も嬉しかった。いつも冷静な瞬が踊り出しそうな勢いだった
嬉しさと心苦しさ。
両方がを苦しめた。


それからの瞬のバイト料は半端ではなかった
今までもバイトはしていたが、その量が増えている上に、瞬の体にもだいぶ負担がかかってきている
授業中寝ている事も多くなり、バカサイユで寝る、学園に居る時は寝てるか食べているかのどちらか。
それに加えて、舞踏祭にライブを開く事も決定した瞬にはヴィスコンティの練習も重なる
には耐えられない日々だった

そんなある日


九影 : おう、邪魔するぜ?七瀬は来てるか?
 : あ、九影先生。はい、今寝ています
九影 : そうか・・・最近のあいつ、バイト料が半端ねぇからなぁ・・・そう思わねぇか?
 : ・・・私のせいなんです
九影 : お前の?・・・そりゃまたなんでだよ?
 : 私舞踏祭のエスコート、瞬君にお願いしたんです。
     そしたらドレスを絶対に自分で買うなって言われて・・・
九影 : プレゼントってやつか・・・ガキのくせに。
     で、ドレス代稼ぎでバイトも増えたって事か・・・なるほどな
 : 私が断るべきなんですよね・・・瞬君こんなに疲れて・・・私・・・私・・・
九影 : おいおい、泣きつく相手が違うだろう?
     ま、ドレスを自分で買うって言ったところで、聞きやしねぇよ、あいつは
 : でも!
九影 : まぁ落ち着けや。座るぜ?


九影は近くにあった椅子に座った
はハンカチで涙をぬぐった


九影 : お前さんの言う事も分かるが、七瀬を今止める事なんざ出来ねぇよ
 : どうしてですか?このままじゃ体壊しちゃう・・・そうなったら
九影 : そうなったら俺がエスコートしてやるよ( ̄ー ̄)v
 : そういう話じゃありません!!
九影 : 分かってるって、冗談だ、冗談
 : 冗談にしては笑えません・・・
九影 : ま、そう怒るなって・・・そうだな、七瀬の母親の事は知ってるな?
 : はい・・・
九影 : あいつが今まで信じられるもんって言ったら、金と音楽だけだった。
     でもここに来て変わったんだぜ?
 : ?
九影 : 前に表情が軟らかくなった、って話しただろ?
     金と音楽だけじゃなくてその他にも大切なもんが有るって気がついた
 : ・・・翼君達ですか?
九影 : ま、それもそうだがよ、もそこに入ってるって事だ
 : 私?・・・それなら私のお願いでバイトをやめて貰えば
九影 : 無理だな。それは男の意地ってやつだ(* ̄ー ̄)v
 : なんですか、それ。
九影 : 大切な女にここぞって時に
     プレゼントの一つも出来ないような男になりたくないんだろう、七瀬は。
 : 大切な・・・え?えぇぇぇぇ?!!!!w(*゜o゜*)w
九影 : 鈍さにも程ってもんがあるだろう・・・七瀬が可哀想だぜ・・・(w_−;
 : いや、大切とか、そういう風に思うなら、
     なおさら、その人の意見を、あれで、こう・・・あー訳わかんない!!
九影 : なにあたふたしてやがる( ̄ー ̄)・・・言っただろ、男の意地だよ。
     七瀬にもプライドってもんがあるんだ分かってやれ
 : ・・・プライド・・・でも何か、私にも何か出来ないんでしょうか・・・
     このまま待つだけなんてイヤです
九影 : そうだろうな、お前さんの性格ならそう言うと思ったぜ。
     ま、差し入れとか喜ぶんじゃねぇか?
 : 差し入れ?・・・あーなるほど!
九影 : それから、お前さんは笑ってろ。
 : はい?


九影は椅子から立ち上がりながら、に言った


九影 : 困った顔より、泣き顔より、七瀬が一番元気になるのは、お前さんの笑顔だってこった
 : 笑顔って・・・なに言うんですか!もう・・・
九影 : やっと元気になったな?それじゃ七瀬によろしくな
 : あれ、瞬君に用事があったんじゃないんですか?
九影 : まぁ、用事があったんだが、済んだんでな。それにの笑顔もみれたしな
 : だから笑顔、笑顔ってそんなにへらへらしてませんよ?
     ・・・ひょっとしてしてるのかなぁ・・・
九影 : ま、そう考え込むなって、な
 : あー頭がぐしゃぐしゃになるぅー


九影に頭を撫でられると、これでもかとセットが崩れる
大して変わってねぇぞ?と笑いながら、最後に一撫でして保健室を九影は後にした

その日から、のおにぎり大作戦が始まった


瞬  : お疲れ様でしたーって、さん?!(゜ロ゜〃)
 : あ、瞬君?今終わったの、バイト。
瞬  : あ、あぁそうだが・・・って、こんな時間に何を
 : これ。こんな時間だからバイトから帰ってご飯作って食べるなんてしないでしょ?
瞬  : そ、そんなことは・・・
 : だから、差し入れ。おにぎりと、ちょっとおかず。
瞬  : ひょっとして、さん手作り・・・なのか?
 : うん。あ、タッパは明日持ってきてね?
瞬  : 勿論だ。また何か入れるかも知れないしな
 : と、言うか、明日も明後日も、おにぎりの差し入れ、するから。
瞬  : って、何を

は一歩瞬に近づく
瞬の顔がぐっと近くなる


瞬  : さん・・・
 : 舞踏祭のライブの為にもヴィスコンティの練習頑張ってるんでしょ?
瞬  : あぁ。せっかく九影と真壁が頑張ってくれたんだ。
     ヴィスコンティとして最高のステージを見せてやるぜ
 : それからドレスは買わないって約束するから、私の差し入れ、ちゃんと食べてね?
瞬  : さん・・・しかし、さんに差し入れの金・・・
 : エスコートの手紙に書いてあったじゃない?
     『俺の時間を貴女に捧げる。貴女の時間を俺にくれないか?』って。
瞬  : ・・・あぁ。
 : 瞬君の時間をくれるなら、私の時間も瞬君にあげる。
     瞬君が私の時間を受け取ってくれないなら、私もいらない
瞬  : あんたって人は・・・分かった。差し入れを貰う。だから・・・前金だ
 : ?


近かった瞬の顔が視界いっぱいになる。
額に柔らかな唇が当たる。遅れて、綺麗な瞬の髪がを覆う


瞬  : 最高の時間を約束するから・・・もう少し待っててくれ
 : うん・・・でも、体調だけは崩さないでね?約束だよ?(*^^*)
瞬  : 分かった・・・あんたにそう言われたら、もう無理は出来ないな。大丈夫、約束は守る
 : ありがとう、瞬君


ありがとうはこっちの台詞だという言葉と一緒に、の額にもう一度キスが降りた
北風の中にいたのに、耳まで真っ赤になっただった


舞踏祭前日まで、瞬への差し入れは続いた
おかげではおにぎりを握るのが上手くなった
そして舞踏祭当日。の所にドレスを持って瞬が来た


 : これ・・・着るの?
瞬  : 嫌いか?こういうのは・・・
 : 似合うかなぁって思って・・・ほら、結構セクシーなタイプだし・・・
瞬  : 俺が似合うと思って、さんに着て欲しくて買ったんだ。似合うに決まっている。
 : ・・・言い切られた・・・(〃ω〃)
瞬  : 俺はライブの最終調整が有るから、ぎりぎりに迎えに来るが・・・待っててくれ
 : うん。いってらっしゃい。楽しみにしてるね
瞬  : あぁ、俺も楽しみだ。それじゃ、また後で


まだ、タキシードには着替えてない瞬だったが、
きっと迎えに来る時はタキシードになっているのだろう
自分がこのセクシーなドレスをきて、そんな瞬の横を歩くと思うと今からドキドキしてしまう
でも、そのドキドキは嬉しさだけで、もうどこにも不安は無かった

舞踏祭が始まろうか、という時間。
時計とにらめっこをしながらも、それでも保健室から出れないでいた
その時。


瞬  : 悪い。遅く・・・なった・・・
 : あ、瞬君。タキシードもやっぱり似合うね・・・ん?どうしたの?
瞬  : あ、その・・・
 : あ、ドレスでしょ?やっぱりセクシーすぎじゃないかなぁ?・・・変?
瞬  : そんな事ない!似合ってる・・・いや、思った以上に素敵で、なんて言うか・・・
 : ?!瞬君?!(///ω///)


抱きしめられた
露わになった肩に瞬の髪が揺れて、少しくすぐったい
耳元で瞬の甘えるような、優しい声がする


瞬  : どうしたらいいか分からない。さんをこのまま、いや、二人でこのままこうして居たい
 : 瞬君・・・
瞬  : でもライブが・・・皆が待ってる・・・さんを待ってる人もいる。さんも待ってた
 : うん、メール来たよ、から・・・
瞬  : 九影も心配してた。でも・・・今のあんたを俺以外の男に見せたくない・・・
 : 瞬君・・・
瞬  : こんな俺にガッカリしたか?さん
 : 違う・・・ね、顔、こっちにみて?
瞬  : こうか?・・・?!
 : これでも信じられない?


瞬の唇にの唇が触れた
瞬よりもが真っ赤に照れながら、瞬をみている


 : まだ、ガッカリしてる様に見える?どう?(〃∇〃)
瞬  : 真っ赤になって言う台詞か?しかし・・・
 : しかし、何よぅ!こっちだって照れくさくって、その、あの!もう!!
瞬  : しかし参ったな・・・あぁそうだ、俺の好きなさんはこうじゃないとな
 : こう?・・・ま、いいや瞬君元気になったしw
瞬  : そう、その笑顔だ。それじゃ改めて・・・お手をどうぞ?
 : はい、お願いします


目と目が合う。微笑みがこぼれる
そのまま、ざわついた舞踏祭のフロアへ足を踏み入れた


悟郎 : きゃーきゃー、パラッペエロい!!
 : いや、そんな事無いって・・・つうかエロって・・・
九影 : ほーう、馬子にも衣装とはよく言ったもんだな?見違えたぜ
 : 九影先生まで、褒めてるんですか、けなしてるんですか?
     ・・・でもありがとうございました
九影 : まぁな。お礼ならいつでも
瞬  : ダメだ。今日は俺がさんのエスコートだ。
九影 : だがなぁ七瀬よ、お前はライブに行かないとな?ほれ、呼びに来てるぜ?
祐二 : ここにいたのかよ、瞬・・・って、このドレス・・ははーん、この人がさんって訳?
 : はい、ですけど・・・ヴィスコンティの祐二さんですよね?
     ボーカルの・・・でもなんでドレスのことまで?
祐二 : 俺が選ぶの手伝ってやったんですよ。
     ほれほれ言わないとお兄さんが全部話しちゃうぞ?瞬?
瞬  : やめろ、祐二!・・・後で全部話すからさんは、その・・・待っててくれ
 : うん。頑張ってね!
祐二 : はーい祐二君も頑張りますよ、さん
 : はい、頑張って下さい
瞬  : いいから行くぞ!祐二!


 : 意外と気さくな人ですね、祐二さん。ライブで見た時はもっと怖そうだったから・・・
悟郎 : シュンシュンの周りは、いい人ばっかりだしね〜
     ってライブ始まるしーポペラ良い席取られちゃう!、また後でね!!
 : 九影先生はここで見てるんですか?
九影 : あ?あぁ。せっかく七瀬がいなくなったんだ、今だけ俺がエスコートしてやるよ
 : それはどうもありがとうございます


ホント、鈍いな、と一言漏らすと、二人はステージを見ていた
しかし、ステージの瞬から見ると、寄り添って見ているように見えて気になって仕方ない
演奏に集中しながらも、どうしてもに目が行く
視線がぶつかる度に、は優しく笑う。
しかし九影が話しかけるのか、それに応える為に一瞬でも視線がそらされる
その度に瞬は『パゲがぁぁぁ後で殺す!絶対に殺す!一千億回殺すぅぅぅ』と心に誓った

ステージから降りてきた瞬は一目散にの所に行くと
そのまま、奪うようにをフロアの外に引っ張り出した


 : 瞬君?・・・どうしたの?
瞬  : あ、あぁ・・・さん、このまま帰らないか?
 : え?
瞬  : いや、なんでもないんだ・・・忘れてくれ、独り言だ
 : 違う。瞬君何?何か言いたいんでしょ?


のまっすぐな瞳が瞬を射抜く
この人の、このまっすぐな瞳の前で嘘なんて言えない。誤魔化しもきかない


瞬  : ステージから見て九影とさんが寄り添ってるのが、切なかった
 : そう見えたの?
瞬  : ・・・あぁ・・・やっと手に入れた大切なものを奪われそうな
     大切なものを無くすような・・・怖かったのかもしれない・・・


瞬にしか分からない感覚
一度手にしたものを、無くす恐ろしさ。不安、絶望・・・


 : ね、瞬君、雪。
瞬  : ・・・冷えると思ったら、雪か・・・
 : やっと顔、上げてくれたね、瞬君
瞬  : え?
 : ずっとうつむいてたよ?ライブから帰って来てからずっと。私の事も見ないで・・・
瞬  : いや、さんの事は見ていた
 : 違うの。目が、目がやっと目があったw
瞬  : さん・・・
 : 保健室でも同じような事、言ったね。信じられない?って。
     それって言葉じゃ難しいんだよね・・・
     どんなに信じてるっていっても、言葉だけじゃ、ね・・・
瞬  : さん・・・ガッカリしたか?やっぱり
 : 違うの。なんて言うかなぁ・・・もっと近くに行きたいって言うか・・・
瞬  : 近く?


ぐいとが近づく。あの差し入れを受け取れと言いに来た時の様に
でも今日のはドレスで、ヒールの高い靴を履いてるせいか、前より顔がずっと近い
瞬の頬をの手が覆う
少し冷たい、の手が、ライブで高揚した瞬の頬を覆う
は照れくさそうに笑いながら、でも瞬をまっすぐ見つめて話す


 : あったかい。ね、瞬君、私は?
瞬  : 少し、冷たいな・・・
 : それじゃ、ちょうど良いね。瞬君の熱、少し分けてね
瞬  : あぁいくらでも、くれてやる。


今度は瞬の手がの頬をゆっくりと覆う。は少し目を閉じて、気持ち良さそうに微笑む
の頬が暖かくなるのが分かる。が瞬に微笑む度、瞬の中の冷たい何かが解けていく様だった


 : なんだか恥ずかしい・・・熱くなってるでしょ?
瞬  : あぁさんの体温が分かる
 : 体温が分かるくらい、側にいて一緒に笑っていようね。瞬君
瞬  : さん・・・あぁ、ずっと一番近くで


貴女を見ているという言葉は、そのままの唇に落とされた
フロアからはワルツが聞こえる
長い長いキスの後、お互いの額を当てて、微笑む


瞬  : このまま、貴女を攫ってもかまわないか?
 : 今日のエスコートは瞬君だから・・・どこにでも、連れてって?
瞬  : そうだったな・・・俺がエスコートしてやる。これからもずっと、ずっとだ・・・


二人の姿は、その後舞踏祭から消えた
瞬との行き先は、雪空だけが見ていた